ファドソレラミシ
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0401 0025
「バイト?」
「はい」
「大変だねえ」
 耳の聴こえない人たちによる千手観音、みたいなのは、前からテレビでも見ていたから、
その運営のバイトにまわされた時は9500円もする入場券をタダでもらったような気になって……
というような気分ももう最初の二日程度の話で、バイトも5日目に回ってくると、
前も書いた通り、どうせ見ることができないのはわかりきってしまっていて、
やっぱり予想通り、音も微かにしか聞こえない楽屋口の前、
一人トランシーバーを握って座る作業を五時間も続けてる。

 今は、携帯の電波も届かないし、ろくな警備の仕事もない、意識を朦朧とさせていた頃現れた、
観客の帰りを待つバスの運転手二人と、暇を一緒に味わってる。
「いいとこじゃない」
 年配の運転手が言う。
「そうですか」
「そこはお嬢様学校だったなあ? 女の子が可愛いんや」
 関西の訛りを効かせて若い方もつなげる。

 それから運転手たちは千手観音のネタバレを始めたり、食品の安全について語り合ったり、
若い方がやたら突っ込んで話をして、年長の方がそれをいさめて進んでいった。
「そういや、運動は何やってんの?」
 若い方が思いついたように突然僕に振る。
「やってませんね。バレー部をやめちゃいましたが」
「俺もバレー部だったんだよ。背が低いからっていうんで、ほとんどマネージャーとおんなじことやらされてたなあ」
「一緒じゃないですか」
 思わぬ共通点に驚いて返事をした。
「あんたもか」
「背が低いのによおがんばったなあ」
「いや僕はやめちゃいましたって」

 長い割にほとんどこの前のと中身が一緒という。
幻想即興曲が聞えてきた。運転手が言うには、耳の聴こえない人が弾いているらしい。
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